1. 10cents a dance 大きな期待を抱かせる、素晴らしいイントロだ。そして最初から、ユッタリとした気分になれる。このユッタリ感こそが、garpなのだ。思わず身体が動き出すリズムだが、決してギンギンにならない。大人こそが楽しめる、そして大人こそが演奏し得る音楽なのである。ただし、良く聴き込めば、例えばドラムやベ−スなどが、バックのリズム・パタ−ンの繰り返しの中で、細かくオカズ(フィル・イン)を入れているのが判る筈だ。そうした辺りが楽しめるようになれば、これはもう、立派なaosisファンである。そして、ソロに於ても、テクニックをひけらかすように単純に弾きまくるということをしないのが、本物の大人なのだ。
3. Liquid City ここまで聴いてきて、もうお気付きだと思うが、garpの音楽には、フォルティシモが皆無だと言って良いだろう。単純に、楽器を大きな音で鳴らすということが必要無いのである。音楽で人に何かを訴える、或いは気分に浸ってもらおうという場合、必ずも音量が大きくなる必要は無いのだ。演奏する側のフィ−リングが最大に聞き手に伝われば良い。そんな見本のような曲が、この曲だと言って良いだろう。誰もが、大きな音を出していない。これは、バンドの4人がお互いを充分に信頼していなければ出来ない演奏なのである。
4. Heads Up ちょっと浮き浮きした気分になれる曲だ。彼等は、事前に書き込んだ譜面というものを用意していない。スタジオでメンバ−がプレイしながら色々と決めていくそうだ。この曲なども、そうした中で練り込まれていったナンバ−なのだろう。こうした曲でも、彼等は決して音数の多い演奏をしない。そこが彼等の主張の一つでもあるのだ。
5. Say No More 優しいイントロに乗って、少々マイナ−気味のメロディが展開される。必要最小限のメロディだけを持ってスタジオに入ったのでは、と思わせる曲でもある。何回もプレイして行くうちに決めごとなどが出来ていきました的なナンバ−だ。要するに流れが自然なのである。曲の中に不必要な仕掛けや大袈裟なアレンジなどは要りませんという彼等の姿勢が聞き取れるのである。タイトルの、「もう何も言わないで」というのは、彼等が現在の日本の音楽シ−ンに言いたい言葉ではないだろうか。
6. She needs me 軽くミュ−トしたベ−スの指弾きと、シンプルながらも乗りの良いドラムとで始まるこの曲は、繊細なタッチのギタ−と、流れるようなキ−ボ−ド・プレイが印象的だ。でも、途中で挟まれるパ−トでは4ビ−ト的なスイング感も楽しめる。こんな演奏、素人が聴いたら当り前のプレイに聞こえるかも。だが、そうではない。このゆとりと緩やかなグル−ヴは、間違い無くプロ中のプロこそが出し得る、極上の演奏なのである。