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Primalroots
Shinkies
Beat Goes On
c'est du nanan!
nanan style
midnight cowboy
garp2
新川 博
新川 博
新川 博
nanan
nanan
garp
garp
新川 博
\2,400 (plus tax)
【 Beat Goes On 】
COMPACT DISC
VICL-69087 / aosis records / Victor Entertainment,Inc.
Title List
Recording Data
Liner Notes
Liner Notes
前作の「Shinkies」(2001年発表)は、新川が永年にわたり親交を深めてきたロサンジェルスの豪華スタジオ・ミュージシャンとのレコーディングだったが、今回の新作もそれと共通した重要なポイントがある。それは、ライヴ感のある生演奏ということだ。今、こういうレコーディングは益々少なくなっている状況の中で、そういったアプローチは、まさに新たな“視点”のように僕には思える。
それは、懐古趣味なんかではなく、音楽が正しく表現されていた時代をとりもどす情熱のようにも写る。近年、サンプリングや打ち込みなど音楽がどんどん機械化していく中で、生演奏は今後ますます貴重なトレンドになっていくと僕は信じている。この生の面白さこそ本来の音楽の真髄ともいえるものなのだから。そういった音楽の根本的な精神は、いつの時代にも変わらず存在するものと思うからだ。
『ティーンエイジャー・ミュージックがマーケットのほとんどを占めている現在の状況下で、音楽的クオリティーの高さだけで商業的な結果を出すのは難しい。だから僕はCDが売れるか売れないか、という考え方からスタートするのではなく、チケットを発売したらすぐにソールド・アウトになるような魅力あるライヴ・パフォーマンスがあって、その余韻を楽しむものとしてのCD、そういうあり方でもいいと思う。この新作もライヴを期待させ、グルーヴに溢れた名刺代わり的アルバムに仕上げたつもりです。』と新川は強調する。
これまで、garp, nanan, HOTTER THAN HOTなどのグループで、新川はライヴ・パフォーマンスを精力的にこなしている。今回の新作はそんな気の合う仲間たちとのレコーディングだ。
『学生のころ仲間と夢中になってバンドをやって、プロになってアレンジ、プロデュースも含めアイドルに始まりありとあらゆる仕事をしてきました。でも前作の「Shinkies」にしてもこの「Beat goes on」もベーシックにはバンドがあってライヴを前提とした生の音楽をつくっているわけです。つくづく、音楽的な意味で若かったあの頃にどんどん戻っていっている気がするんです。』
新川のこだわりは、さらにプレイする楽器にもおよんでいる。まず、今回、耳に心地よく響くエレクトリック・ピアノのサウンドがなんとも魅力的だ。
『今回使用しているキーボード、フェンダー・ローズとウーリッツァーのエレピは僕らの世代の楽器です。高校生の頃、欲しくて欲しくて。今はもちろん製造中止だし部品の入手が困難なので、いいコンディションに保つのが大変なんですよ。僕はローズを4台持ってますが、それぞれから必要なパーツを集めてやっと1台ちゃんとしたのができる、といった感じですから。でも僕らの世代が守っていかなきゃいけない楽器だと思うんです。』
曲によってそれを使い分けているところも彼のデリケートな感覚が伺える。
『フェンダー・ローズとウーリッツァーの音の違いを端的に言うと、ローズはヴィブラフォンの音色に近いですね。言い換えるとヴィブラフォンがマッチするような曲であればローズが合います。ヴィブラフォンはマレットで叩くとポーンと音が伸びるじゃないですか。そのローズに比べるとウーリッツァーは音が伸びないので、いっぱい弾かなくっちゃいけないんです。ウーリッツァーはクラビネットと同じようなニュアンスのエレキ・ピアノと言えますか。音数をいっぱい入れてファンキーに弾く場合ウーリッツァーが向いています。僕らはスペースがあっても、音の伸びないウーリッツァーであえて間延びした感じに弾く時はありますが。代表的なプレイヤーで言うとローズはハービー・ハンコック、デイヴ・グルーシン、ボブ・ジェームス。ウーリッツァーはやっぱりダニー・ハザウェイ、あのムードですよ。細かい事を言えばローズも88鍵と73鍵では音が違うし、マーク1からマーク5までありますがそれぞれ違いますね。』
この新作を聴いて僕が感じたのは、これは日本人によって放たれた21世紀型のグルーヴ・サウンドの集大成だということ。
さらにいえば、UKグルーヴと同じ意味あいを持つ、J ?フュージョン・グルーヴとでも表現した方がいいと思う。
確かに歴史的にも日本のミュージック・シーンは、アメリカから多大な音楽的影響をうけている。新川もその例外ではない。
『実は昨年の1月、僕はフランス、カンヌで開かれた音楽見本市の仕事で、生まれて初めてヨーロッパに行ったんです。アメリカにはそれこそ星の数ほど行ってるんですけど。この見本市はaosisレーベルの海外のマーケットに対するプロモーションとセールスが主たる目的だったんですが、そこにアメリカ、ヨーロッパなど世界各国の音楽業界人が集まり、そして多くの業界人と接してみてわかったのは、アメリカは大量に仕入れ1円でも安く大量に売ろう、というビジネス。一方、ヨーロッパは数字として大きな結果が見込めなくても、面白いものであればそれに見合った規模でやろう、というビジネス。多くの日本人ミュージシャンがアメリカではなくヨーロッパで小規模ながらも活発に活動し、支持されている状況はそれを端的に表しているんじゃないでしょうか。
加えて実感したのは、アメリカン・ミュージックは全体の一部に過ぎないということ、また我々日本人はいかにアメリカ的な価値観でしか物事を見ていないかということを思い知らされました。それはもうカルチャー・ショックでしたね。
戦後日本はアメリカン・カルチャーに囲まれてきました。私もアメリカの音楽に大きな影響を受けてきた。ロック、ポップス、R&B、ジャズ等々。でもそれは日本だけではなくてヨーロッパも同じなんです。日本同様ヨーロッパには長い歴史と文化があるわけですが、近代に於いて、彼らも我々と同じく歴史の浅いアメリカから大きな影響を受けている。その結果UK R&BやJAZZなど彼らなりの独自のグルーヴが生まれ、また力強い現在のヨーロッピアン・ジャズにつながっていると思います。いろいろ影響を受けたものをベースとして、いかに自分たちのテイストを織り交ぜて料理するかという共通の思いが彼らと僕ら日本人の間にはあるんです。
またヨーロッパには古いものであっても時代を超えて愛情を注ぐという土壌があるんでしょうね。車にしても年期の入ったものを大切に乗り続けたり、古い車種に変わらない人気があったりと。一方アメリカでは新しいものが至上だとする考え方がやっぱり強い。時代遅れとされてたフェンダー・ローズの魅力を再発見したのもイギリスですし。そういった意味で僕の新作はブルー・アイドなR&B/グルーヴに近いし、UK/ヨーロッパ的スタンスに立って作ったと言えるでしょう。』と今回の新作の精神面について興味深い話をしてくれた。
そういったものが、今回の新川のオリジナル曲やカバー曲によく表れている。全体に醸し出されたグルーヴ感が今回の最大の聴き所だろう。
その心地良さは、新川の間をいかしたシンプルなプレイにもあるように思う。
『僕はキーボーディストというよりもプロデュース/アレンジの仕事をメインにしてきたということもあるんでしょうが、いかに少ない音数で豊かに表現するかということを常に思っていまして。これ見よがしに弾きまくることだけはしたくない。僕自身のプレイは、曲の中で塩・コショウ的な味付けの役割が果たせればいい。そしてグルーヴを感じとっていただけるのは何より嬉しいですね。若い頃は年数を重ねれば自然とグルーヴが身に付くものだと思っていましたが、時間的蓄積があるからグルーヴが出るわけではないんです。グルーヴに教則本はないし、テクニカルなことを極めたからといってそれが身に付くものでもない。ではグルーヴとは何かと問われれば、それは人間の生理であり、また人生そのもの、と言えるのではないでしょうか。』
まさにその通りで、それこそが音楽人間・新川バンドの面白さであり、そういうサウンドがつまっているこの新作は、本当にライヴを聴きに行きたくなるパワーを持っていると思う。
音楽誌『ADLIB』編集長 松下佳男
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