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garp2
新川 博 新川 博 新川 博 nanan nanan garp garp


garp
\2,400 (plus tax)
【 garp2 】
COMPACT DISC
VICL-69094 / aosis records / Victor Entertainment,Inc.

garp2 / garp

Title List
Recording Data
Liner Notes
Liner Notes

 aosisレーベルのハウス・バンド的な存在、garpのセカンド・アルバムだ。ご覧のように、付けられたタイトルはシンプルに『garp2』。「どう発音すれば良いの?garpの二乗(事情?)」? と訊いたら、単純に「ガープ・トゥー」で良いそうだ。な〜んだ。
 このアルバムを手にされた方の中で、どれくらいの方が彼等のファースト・アルバム『Midnight Cowboy』をお聴きになっているかは判らない。2001年6月に発売になったそれには、彼等4人が実にリラックスしながら自分達の音楽を奏でている姿が録音されている。決して力が入ったりせずに、聴く人を微笑ませる、魅力に溢れたアルバムだ。もし、まだ聴いていないという方がいらしたら、是非にとお勧めしておく。そして、このセカンドだ。また同じように微笑ませてくれるのかな、と聴いてみた。これが、もうお聴きになっている方はお気付きだろう。「あれ?garpって、6人組になったの?」と。やはり微笑ませてくれるのは変らないのだが、二人のホーンズが入った曲が並んでいる。聴いた感じは全く別のグループとなった。こんな時は、直接話を聞くに限る。
 新川博は言う。「やっぱり、4人だけで演奏していると、ソロを取った時にバッキングのサウンドが薄くなっちゃう、という問題点があったんです。特に、ライヴの時にね。僕達はリズムの4人だけですから、ソロといえば松原正樹のギターか、僕のキーボードでしょ? そうすると、どっちかがバックから抜ける訳で、全体の音が寂しくなっちゃうんですよ。で、ボチボチ2枚目を作ろうとした時に、前に松原正樹のツアーで全国を回った時のことを思い出したんです。2002年の6月だったんですが、その時のバックはリズム隊だけではなくて、ホーン・セクションも一緒でした。その時の演奏が、実に楽しくて、しかも自由度も高かったんですよ。で、その時の思いが、今回のセカンドの発想に繋がる、という訳です。ちなみに、その時のホーンズは3管編成。トランペットとトロンボーン、そしてサックス。そのトロンボーンが、今回参加してもらった佐野聡なんですよ」
 ここで、このアルバムにゲストという形で参加している二人を軽く紹介しておこう。二人とも、現在の音楽シーンになくてはならない存在だ。まずは、サックスの春名正治(はるなしょうじ)。マルチにリード楽器をこなし、自身のバンドを始めとして多くのグループでプレイしている、現在最高のサックス奏者の一人である。故ボブ・バーグやボブ・ミンツァー辺りのプレイを彷彿とさせる、ダイナミックさと繊細さとが同居した演奏は見事の一言。今、最も忙しいミュージシャンの一人でもある。そして、トロンボーンの佐野聡(さのさとし)。彼のステージ振りをご覧になった方はご存じだと思うが、「爆笑させてくれる才人」だ。言っちゃあナンだが、一度見たら忘れられない個性的なルックスとは裏腹に、トロンボーンやハーモニカ、そして指笛までも駆使しての演奏のテクニックは、もう凄まじいほど。しかし、笑わせてくれるのである。こう書いても、彼をご存じ無い方には通じまい。だが、是非とも覚えておいて戴きたい名前が、この佐野聡なのだ。自身のバンドであるバッカスの他、実に多くのバンドでプレイしている。また、このaosisレーベルからソロ・アルバムを発表しているので、お聴きになることをお勧めする。本作の全曲のホーン・アレンジも担当した。そして、この春名・佐野の二人とも、作曲家としての能力が高いことは、本作に収録されたナンバーを聴けば納得して戴ける筈だ。
 新川の言葉に戻ろう。「僕達4人は、いずれもが40代の後半なんです。あ、ベースの松原秀樹だけはちょっと若いか。でもね、若い時に聴いてきた音楽ってのが、骨身に染みているんですよ。だから、ファーストでは、スタッフの出していたサウンドに似ちゃったのも、無理は無い(笑)。まぁ、そもそもがバンドの編成を考えると、似てきて当然でもあるんですけど。で、今回はホーン・セクションを入れた訳です。それも、トロンボーンとサックスという2管編成。こりゃ、誰が考えても、クルセイダースですよね?だって、スタッフ辺りと同じく、クルセイダースも充分に聴き込んでいましたから。もう、僕達の青春そのもの(笑)。ただ、一つ計算外だったのは、まさかそのクルセイダースが再結成されて新作を出すなんてことを全く想像していなかった、ってことでしたね(爆笑)」
 確かに、ホーン二人を加えた編成は70年代に大活躍していた当時のクルセイダースと同じになる。クルセイダース自体は、その後、まずトロンボーンのウェイン・ヘンダーソンが辞め、ドラムのスティックス・フーパーも抜け……という感じで徐々にフェイド・アウトしていったのだが、少なくとも彼等の全盛期は、サックスのウィルトン・フェルダーとキーボードのジョー・サンプルとが揃っていた時期だ。ベース奏者だけは毎回セッションマンが務めていたものの、ギターにはラリー・カールトンが在籍していた頃が最高だった、と感じる人も多いと推察する。それよりも後の「ストリート・ライフ」発表当時も良かったが、クルセイダースの最高傑作アルバムは何と言ってもライヴ・アルバムの『スクラッチ』だ、と信じている方だって多いだろう。ちなみに、garpのメンバー達が予想だにしなかった彼等の再結成には、ウェイン・ヘンダーソンは参加していない。ま、そんなことは、ここではどうでも良いが。
 「僕達ね、今回のアルバムを作っている間に、色々なことを発見したんですよ。まず、今の僕達って、揺れ動いている、と思うんです。例えば10年後に今みたいなことをやっているかと言えば、やっていないと思うんです。僕達、それぞれの分野でガムシャラに頑張ってきて、そして今がある。でも、またドンドンと変っていく筈なんですね。要するに、ミュージシャンとして変化していく過程にあると感じたんですよ。でも、どう変っていくかは、誰にも判らない(笑)。それから、レコーディングしながら思ったのは、あぁ、garpってこんなバンドだったんだ、っていうことかな。元々、僕がaosisレーベルの推進者の一人であることから、このバンドはaosisのアーティスト達をいつでもサポート出来るような、いわゆるハウス・バンド的な個性を持っている訳ですが、どんな人が入ってきてもちゃんと演奏出来るんだ、と改めて思ったんです。ファースト・アルバムでは4人だけの演奏でしたけど、今回は二人のホーンが入ってるでしょ?それも全部の曲に入っている訳です。ソロも、その二人のホーンがかなり多くを取っている。そもそもが、彼等が実に多くの曲を持ってきてくれましたしね。特に頼んだ訳でも無いんですが(笑)。でも、まぁいいか、って。そんな、自由なことが出来るバンドって、そうそう多くは無いなって思ったんです。だって、それでもちゃんとgarpの音になってるんですから!」
 ここで、ちょっと本作のことについて説明をしておこう。録音は、2002年12月から2003年1月に掛けて。平均して1日に2曲というペースでレコーディングが進んだ。ミックスなどの作業が終ったのは、2月。かなり、速いペースである。彼等の場合、ファーストの時などは、スタジオに入って、それから「さぁ、曲、どうしようか」などという悠長な感じだったのだが、今回はちょっと違ったようだ。何せ、全9曲のうち、4曲がゲスト参加のホーンメン二人の手になるもので、彼等はしっかりと譜面を作ってきたからである。おいおい。また、1曲、ヴォーカル・ナンバーがある。ここで歌っているのはMizという女性で、北海道の北見出身の21歳。近々、ソロ・アルバムを発表予定である。「そのアルバムでは、この曲を歌っても全然アレンジの違うものになるんでしょうね。ここでは、僕達オジサンの乗りとかグルーヴに合せてくれたけど(笑)」とは、やはり新川博の言葉だ。更に、このナンバー「Say It’s Forever」は、スウェーデンのソングライター・コンビが書いた曲なのである。誰かのアルバムに入っている曲のカバーかと思ったら、違う。新川が毎年出掛けている「MIDEM」(ヨーロッパで一年に一度行われる、音楽見本市のような大きなイベント)で見付けてきたもので、誰かのカバーという訳ではない。このMIDEM、音楽に関わる総ての分野の人が集まるもので、例えば自身を売り込みたいアーティストとか、新しいレーベルを探しに来た各国のレコード会社なんていう、比較的想像し易いケースから、果てはライヴ・ステージで効果を発揮する花火や巨大バルーンの会社なんてのまでブースを並べてお客さんにプレゼンをしているのだ。そんな中に、この曲を始めとする自分達のオリジナル楽曲を売り込む為にデモ・テープを配布していたスウェーデン人の作曲家コンビがいた、ということ。確かに、中々にキャッチーな、ヒット・ポテンシャルの高い曲だと言えるだろう。その他にも、往年のフュージョン・ジャズを聴いてきた人には思わずニヤッとせずにはいられないナンバーが並んでいる。それも、aosisレーベルにしては珍しく、9曲も。「やっぱり、お得感って言うんですか、それも大事かと(笑)」というのも、やはり新川の言葉である。
 さて、最後になったが、garpの4人を改めて紹介しておこう。まずはバンドのスポークスマンでもあるキーボードの新川博。昭和30年、東京の恵比寿生まれ。「僕が小さかった頃なんて、山の手線の線路に入って遊んでましたからね。例えば、レールの上に釘を置いておいて、電車が通った後にそれが平たく潰れたのをナイフだなんて言って遊んでましたよ」。おいおい。幸いにして(そんなイタズラの方向ではなく)音楽に才能を発揮し、学生時代からプロとしての活動を始めた。実に多くのミュージシャンと活動を共にしてきたが、有名なのは松任谷由実やHi-Fi Setなどだろうか。ちなみに、その恵比寿に彼の会社があるのだが、その会社の名前の名付け親はユーミンである。2000年発足のaosisの創始者であることは、先程も述べた通りだ。そして、同じくユーミンのバックを務めたこともある、ギターの松原正樹。ユーミンの名曲「恋人はサンタクロース」で華麗なギターのリフを弾いているのが、彼だ。昭和29年の生まれで、福井県出身。「あんまり、福井出身のミュージシャンって、いないんだよねぇ」とは彼の言葉。そりゃ、そもそも人口が少ないんだから、無理も無い。だが、五木ひろしとかがいるけど。70年代後半からソロ作を発表し、80年代には数多くのバンドでプレイ。その中の一つ、パラシュートの往年の作品がCD化されて大きな話題となったのも記憶に新しい。今剛とのツイン・ギターは、多くのファンを魅了する。そして、名前は似ているが血縁でも何でもない、ベースの松原秀樹。彼もまた、日本を代表するミュージシャンの一人である。昭和36年の生まれだから、確かに他の3人よりは少々若い。でも、大きくは違わない。一見、コワモテの男だが(実際は心優しい男だ)(……と、思う)、実はミュージシャン業界の中では非常に異色の経歴の持ち主でもある。何と、あの男性アイドル専門事務所、ここでは仮の名前を「J」としておくが、そこにいたことがあるのだ。勿論、10代の頃の話。そこを出て、プロのミュージシャンになった男というのも他にいない……と思ったら、「ヨッちゃん」というのがいた。……ま、その方向を攻めるのは、ここでは止めておこう。幅広いプレイが出来る才人で、スガシカオの発泡酒のテレビCMで(あの、ステージの上で観客に向って「発泡酒を薦めます!」とやっていたヤツ)、スガちゃんのバックにチラッと映っていたのにお気付きの人も多いだろう。他、シング・ライク・トーキングなどのバックも務めるし、ギタリスト二人、梶原順と浅野“ブッチャー”祥之のバンド「J&B」のメンバーでもある。そして最後は、ドラムの濱田尚哉。彼は昭和31年生まれだ。やはり数多くのセッションやらレコーディングなどをこなしてきた存在で、稲垣潤一やドリカム、そしてシング・ライクなどのレコーディングやツアーでもお馴染みかと思う。garpの「グルーヴ隊長」として、彼の果している役割は大きい。ただ、あまり曲を作ることには熱心ではないようで、garpのレパートリーの中に彼のペンになる曲は発見出来ない。新川などに「お願いしますよ!」と言われても、取り敢えずは微笑を返すことで対処している。
 こういう、才能はありながらもガツガツとしたところが皆無な4人は、やはり演奏にそうしたパーソナリティが出ている。それぞれが持っている「技」も、これ見よがしに出すのではない。もっとさり気無く。そして、粋に、品良く。ベタ付かず。これがgarpのスタイルであり、更にはaosisレーベルのコンセプトだと思う。本作を聴いて戴ければ、それは簡単に納得して戴けるであろう。そして最後に、新川の言葉を紹介しておこう。この文章を書くに当たって、彼が僕に言った言葉とは……。「お願いですから、誉めないで下さい。あの、結婚式の祝辞みたいな文章がよくあるけど、あれって大嫌いなんですよ!」

櫻井隆章



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